おねしょ対策
普段の生活でできること
昔からの対策は医学的に証明されてない!?
おねしょを治すために、昔からさまざまな対策や方法が考えられてきましたが、医学的に効果が証明されている方法は意外と限られています。
たとえば、「夜中にお子さまを起こしてトイレに行かせる」、「夜は水分を一滴も飲まないようにする」、「オムツをやめてパンツにする」などがありました。しかし、これらの方法は一部では正しいのですが、時期や方法などを間違えると悪影響になることが懸念されるのです。また、言い伝えられている方法がすべてのお子さまに当てはまるとは限りません。
4歳まではおねしょがあっても不思議ではありませんが、5歳頃までに自然におねしょを減らしていくために、どのお子さまにも共通する、普段の生活でできる改善点をお伝えします。
夕食から就寝までの時間をなるべくあける
おねしょ対策で最も大切なことは、夕食から就寝までの時間を、できれば3時間以上あけることです。食事などで摂取した水分が尿として膀胱に貯まるためには、約3〜4時間かかるからです。
夕食から就寝までの時間が十分にあけられると、寝る前にトイレでたっぷりとおしっこが出て、夜間に作られるおしっこの量が減少します。おねしょ対策のなかで最も効果がある方法です。
夕食時や夕食後に糖分を含んだデザートや果物などの摂取は控える
塩分はもちろんですが糖分、特に果糖などにも利尿作用(おしっこを増やすはたらき)があります。このことは、寝入りばなの夜尿症に強く関連していると考えられています。夕食後の甘いものをやめただけで、おねしょが改善したお子さまもいるそうなので、是非実践してみてください。
早寝早起きを実践する
寝つきの良い環境をつくり、夜更かしを避けましょう。さらに 朝はなるべく早く、できれば6時に起床させましょう。夜尿症のお子さまは睡眠が深いだけでなく、本来睡眠が浅くなる明け方にかえって深くなってしまう特徴があります。
寝つきが悪く、寝起きも悪いのもおねしょのお子さまの特徴です。睡眠リズムを整え、寝つきや寝起きを良くすることでおねしょも改善されます。
夕食後はコップ一杯程度の水分に抑える
夕食から就寝までの間は、コップ一杯程度の水分に抑えることが大切です。飲み物は糖分やカフェインを含まない、お水や麦茶などが適しています。さらに就寝前のおしっこを促すように、就寝前のトイレに行く直前にお水を一口飲ませてあげることも大切です。特に夜間のおしっこの量が多いタイプのお子さまには、とても効果があります。
夏の暑い時期は熱中症対策を優先!
近年の夏は、暑さによる熱中症への対策が欠かせません。気温や湿度が高いときに、おねしょを心配するあまりに水分を控えさせることはやめましょう。熱中症はお子さまの命に関わることなので、おねしょ対策よりも脱水防止を優先してください。ただし、夜間によほど暑い部屋で寝ていない限り、お子さまが熱中症にかかるのは昼間がほとんどです。昼間の汗をかいているときに十分に水分をとらせておくようにしましょう。夜はのどが渇いているようであれば水分をとらせてあげても大丈夫ですが、涼しい部屋で眠れるようであれば、上記のように、夕食後はコップ1杯程度にしておきましょう。
冬場は寒さ対策を万全に
冬は夏場と違って汗をかく量が減り、体が冷えることで膀胱の緊張が高まり、おねしょをしやすくなります。
まずは、就寝前に体を十分温めてからお布団に入るようにしましょう。そのためには、夕食後にお風呂に入り、比較的温かめの湯船にゆっくりと浸かることが大切です。さらに体が温まったら、冷えないうちにお布団に入るようにしましょう。
また、布団乾燥機や、湯たんぽ、電気毛布などであらかじめお布団を温めて、夜中から明け方の寒さを防ぐ工夫が必要です。
寝際に体がほってって布団をはいでしまうお子さまには、深く寝入った後の0時~午前1時頃に湯たんぽを入れたり、電気毛布の電源をつけてあげるようにするとよいでしょう。
監修:
昭和大学医学部小児科学講座 教授
池田裕一先生